ウィグルにチベット2009/07/11 08:49

鈎(かぎ)を盗む者は誅(ちゅう)せられ、国を盗む者は諸侯となる

古代中国に存在した荘子という思想家が行った言葉。

鈎とは帯留めの意味で、そんな小さな物を盗んだこそ泥が処罰されるのに対し、国を盗むような大泥棒は権力者となる

ということを揶揄した言葉だ。
巨悪は裁かれない、というのは今も昔も変わらない。

ウィグルやチベットで行われている惨状を見て、思い出した言葉。

少なくとも、日本の教科書に載っている古代中国王朝の版図を照らし合わせれば、その地が「中華」というひとつの文化圏の中にあったとは言い難い。民族も宗教も違うし、言語すら違う。習慣も違う。

それを武力で支配しているというのであれば、「彼らの国を盗んだ」と言われても仕方がないことだろう。

元々、彼らがデモを行っているのには明確な理由がある。
彼らの地は鉱物資源が取れるが、その利益が中央政府に吸い取られ、地方政府にしても中央政府から派遣された役人であることを考えると、地元の人々に利益還元がされていないことに対する不満。

あるいは、核実験などが行われる場所としても使われていることの不満。

もちろん、貧富の格差もある。

それらから目をそらし、「暴力的なデモをした」として銃口を「公称自国民」に向けるのはいかがなものだろうか?

ロシアにしろ、中国にしろ、「共産主義」、つまり貧富の格差のない平等な社会を謳う国ほど中央集権的であり、平等ではないという事実を我々は常に認識する必要がある。

おっと、忘れてはいけない国がもうひとつあった。

北朝鮮も、である。